機械学習とディープラーニングの違い
データから学ぶ技術と、特徴量まで自動で取り出す技術
- 機械学習は、機械が既知のデータを学習して、未知のデータに対する予測や異常の検知を行う技術です。
- ディープラーニング(深層学習)は、脳の神経回路をまねたニューラルネットワークを多層にして学習する、機械学習の一種です。判断に必要な特徴量を、人間が教えなくても自動で取り出せます。
- 機械学習は「訓練データで学習して学習済みモデルを作る学習フェーズ」と「現場で使う実行フェーズ」に分かれます。
機械学習とは
機械学習は、機械が既知のデータを学習して、未知のデータに対する予測や異常の検知を行う技術です。人間がプログラムで細かい指示を出すのではなく、コンピュータ自身が大量のデータから規則性やパターンを見つけ出します。たとえば、製造機械が故障する前の異常な高温を見つけて、故障を事前に予測するような使い方があります。
機械学習は、大きく2つのフェーズに分けられます。
- 学習フェーズ: ビッグデータから異常値を取り除くなどの前処理をして、訓練データを作ります。これを学習器に入力すると、学習器は、訓練データに付いた正解情報と比べながら、規則性やパターンを見つけます。その結果として出てくるものが、学習済みモデルです。学習済みモデルを作るには、高速な演算能力と多くの時間が必要です。
- 実行フェーズ: 学習済みモデルを AI として現場に置き、現場の実データを未知のデータとして入力して、予測や異常検知に使います。
ディープラーニングとは
ディープラーニング(深層学習)は、ニューラルネットワークを多層(深層)構造にして、機械学習をさせる技術です。ニューラルネットワークとは、脳の神経回路をまねてモデル化したものです。
違いのポイントは特徴量です。特徴量とは、顔の認識なら輪郭・眉・目・鼻・口のように、判断に必要な要素のことです。ディープラーニングでは、この特徴量を人間が教えなくても、学習器が層ごとに順番に取り出しながら学習します。画像のようなデータでは、特徴量の抽出は難しいとされてきましたが、ディープラーニングはこれを自動化できます。
一方で、ディープラーニングの性能は訓練データの質と量に大きく左右されます。また、判断の理由が人間に分かりにくいという課題もあります。
違いを表で比べる
| 比べること | 機械学習 | ディープラーニング |
|---|---|---|
| 何をする技術か | 既知のデータを学習して、未知のデータを予測・異常検知する | 機械学習の一種で、脳の神経回路をまねたネットワークを多層にして学習する |
| 学習のしくみ | 訓練データの正解情報と比べて、規則性やパターンを見つける | 層ごとに順番に、データの特徴を取り出しながら学習する |
| 特徴量 | 特徴量の自動抽出は、ディープラーニングの特徴として出る | 人間が教えなくても、学習器が自動で取り出す |
| 作られるもの | 学習済みモデル | 学習済みモデル(多層のネットワーク) |
| 注意点 | 学習済みモデルの作成に演算能力と時間が必要 | 訓練データの質と量に左右される。判断の理由が分かりにくい |
お客様に説明するときは
AI を使った機能を案内するときは、「あらかじめ大量のデータで学習させたものを、実際の場面で使っている」と説明すると伝わりやすくなります。教科書の例のように、画像から顔の輪郭や目・鼻・口を見分ける場面では、ディープラーニングが力を発揮します。「AI は絶対に間違えない」といった言い方は避け、学習に使ったデータの質に左右されることも伝えます。
試験での問われ方
スマートフォン・モバイル実務検定では、第10章「5G/IoT/AIの最新動向」で出ます。もちこ道場の第10章の問題(全50問)のうち、機械学習・ディープラーニングを扱う問題は10問あります。
- 穴埋め: 「コンピュータ自身が大量のデータから規則性を見つけて学習する技術」に機械学習、「人間が教えなくても層ごとに取り出す、認識に必要な要素」に特徴量を選ぶ。「学習フェーズで前処理を経て作り、学習器に入れるもの」に訓練データを選ぶ問題もあります。
- 2つの空欄の組み合わせ: 「既知のデータを学習して予測・異常検知を行う技術」と、その結果できるものに、機械学習と学習済みモデル(または訓練データ)を組み合わせる。
- 記述を選ぶ: 「学習済みモデルを作れば、AI が誤った判断をすることは絶対にない」のような言い切りの誤りを見抜く。
覚え方
- 機械学習=データで学んで、モデルを作る。流れは訓練データ → 学習器 → 学習済みモデル。
- ディープラーニング=深い(ディープ)層で学ぶ。層が深いので、特徴量まで自分で取り出せる、と考えます。
- 用語の関係は「機械学習の中にディープラーニング」。逆にならないように気をつけます。
第10章のほかの用語は「第10章 5G/IoT/AIの最新動向の要点」にまとめています。
第10章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第10章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
AI(人工知能)の分野において、人間がプログラムで細かい指示を与えるのではなく、コンピュータ自身が大量のデータから規則性やパターンを見つけ出す仕組みを利用して学習する技術を1といいます。
答えと解説を見る
正解は 2(機械学習)です。
【概要】
機械学習は、機械が既知のデータを学習して規則性やパターンを見つけ、未知のデータに対して予測や異常検知を行う技術であり、学習フェーズと実行フェーズに分けられる。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. エッジコンピューティングあなたの解答 エッジコンピューティングは、データの発生源に近い場所で処理を行う考え方であり、データから規則性を学習する技術ではない。
- 2. 機械学習正解あなたの解答 機械学習は、訓練データの正解情報と比較しながら規則性やパターンを見つけ、学習済みモデルを作り出す技術である。
- 3. ニューラルネットワークあなたの解答 ニューラルネットワークは、脳の神経回路をまねたモデルであり、データから学習する技術全体を指す語ではない。
- 4. IoTプラットフォームあなたの解答 IoTプラットフォームは、IoTシステムの構築や運用を助ける共通の土台であり、データから規則性を学ぶ技術ではない。
問2
ディープラーニングは、顔の輪郭や目、鼻、口のように、顔の認識に必要な1を人間が教えなくても、学習器が層ごとに順次取り出しながら学習していく。
答えと解説を見る
正解は 3(特徴量)です。
【概要】
特徴量は、顔の輪郭や目、鼻、口のように、認識に必要な要素である。ディープラーニングでは、その抽出が自動化される。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 正解情報あなたの解答 正解情報は、訓練データに付けられていて学習器が比較に使うものであり、認識に必要な要素ではない。
- 2. ビッグデータあなたの解答 ビッグデータは、センサなどから集められた膨大な情報であり、認識に必要な要素の名称ではない。
- 3. 特徴量正解あなたの解答 人間が教えなくても学習器が層ごとに取り出していく、認識に必要な要素という点が、問題文と合う。
- 4. 学習器あなたの解答 学習器は、学習するしくみそのものであり、取り出される要素ではない。
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よくある質問
ディープラーニングは、機械学習とは別の技術ですか?
別ではなく、機械学習の一種です。ニューラルネットワークを多層(深層)構造にして機械学習をさせることを、ディープラーニングと呼びます。「機械学習が大きな枠で、その中にディープラーニングがある」と考えます。
学習済みモデルを作れば、AI は絶対に間違えませんか?
そうではありません。ディープラーニングの性能は、訓練データの良し悪しに大きく左右されます。学習させるデータが少なかったり、肝心な特徴量が含まれていなかったりすると、うまく働きません。「絶対に誤らない」という記述は、誤りの選択肢として出てきます。
ディープラーニングの判断は、人間がすべて理由まで理解できますか?
判断の根拠を人間が理解しにくい「ブラックボックス」になりやすいことが課題とされています。そこで、人間が理解しやすい「説明可能な AI」の研究開発が進められています。
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出題範囲は、2026年11月2日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。